「賃貸の浴槽、コーティング剤でピカピカにしたいけど、退去するときにトラブルにならないかな…」
そう思ってこの記事を開いたあなたは、おそらく毎日のお風呂掃除にちょっと疲れていたり、古びた浴槽の見た目が気になっているのではないでしょうか。
結論から言います。賃貸の浴槽にコーティング剤を使うこと自体は可能です。ただし、使い方を間違えると退去時に「原状回復費用」として追加でお金を請求されるリスクがあります。 このリスクをしっかり理解したうえで、自分で施工するか、プロに依頼するか、あるいはやめておくかを決めるのが正解です。
この記事では、インターネット上のユーザーのリアルな声や、弁護士相談サイトに寄せられた具体的なトラブル事例、さらには大家さん側の本音までを徹底リサーチ。浴槽コーティングの「キレイになるメリット」だけではなく、「賃貸だからこそ知っておくべきデメリットとリスクヘッジ」を中心に解説していきます。
賃貸の浴槽コーティング、そもそも「原状回復」ってどういうこと?
コーティング剤を使う前に、まずは賃貸のルールをおさらいしておきましょう。
賃貸物件を退去するとき、借主は「原状回復」の義務を負います。これは、物件を借りたときの状態に戻して返すというルールです。ただし、国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常の使用によって生じた経年劣化や摩耗については、借主ではなく大家さんが負担するとされています。
つまり、浴槽が長年の使用で自然に色あせたり、薄く傷がついたりした場合は、借主が費用を負担する必要はありません。
では、コーティング剤はこの「原状回復」の対象になるのでしょうか?ここが一番のポイントです。
弁護士相談サイトに寄せられた実際の相談事例(2022年11月、JustAnswer)では、退去時に管理会社から「浴槽コーティング費用」として13万円を請求されたというケースがありました。この相談者は契約書にそのような費用が明記されていなかったことから、経年劣化に該当するとして支払いを拒否している状況です。
また別の相談(2025年10月、弁護士ドットコム)では、経年劣化した浴槽の交換を家主に求めたところ、「交換する代わりに家賃を値上げする」と言われて困っているという事例も確認されています。
これらの事例からわかるのは、コーティングに関するトラブルは決して珍しくないということ。特に、借主が自分の判断で施工した場合には、退去時に「元の状態に戻すための費用」を請求されるリスクが生じます。
ユーザーのリアルな声:コーティングして後悔した人、満足した人
インターネット上の口コミやQ&Aサイトを調査したところ、賃貸浴槽のコーティングに関するユーザーの声は大きく二極化していることがわかりました。
満足している人の声(約6件)
- DIYで施工したら「新品同様のツヤが出て、毎日お風呂に入るのが楽しみになった」
- 「水垢が落ちやすくなって、掃除の時間が半分以下になった」
というポジティブな意見がある一方で、後悔や不満の声(約9件) も目立ちます。
- 「DIYコーティングをしたけど、2ヶ月で輝きがなくなった」
- 「入浴剤を使ったらすぐに剥がれてしまった」
- 「施工が思ったより難しくてムラになり、逆に見た目が悪くなった」
特に注目すべきは、「施工が難しい」「持続しなかった」という声がDIY製品に集中している点です。市販のコーティング剤は手軽に試せる反面、下地処理の丁寧さが仕上がりを大きく左右します。プロ並みの施工技術がないと、期待した効果が得られないばかりか、余計に目立つ汚れやムラを作ってしまうリスクがあります。
また、複数の口コミで「退去時のことを考えて施工したのに、逆に請求が怖くなった」という不安の声も見られました。これは、コーティングの効果を謳うプロモーション情報だけでは得られない、リアルなユーザーの本音と言えるでしょう。
DIY市販品とプロ施工、賃貸住まいにはどっちがお得?
ここで、賃貸に住むユーザーが取れる選択肢を、実際の数値とリスクの観点から比較してみましょう。
| 比較軸 | DIY市販コーティング剤 | 専門業者によるプロ施工 | 施工しない(現状維持) |
|---|---|---|---|
| 初期費用の目安 | 約2,000円〜5,000円 | 約25,000円〜60,000円 | 0円 |
| 持続期間の目安 | 数週間〜半年(製品により異なるが、早期劣化の声多数) | 1〜2年以上 | – |
| 施工の難易度 | 高い(下地処理が命。ムラになりやすい) | 不要(プロが実施) | – |
| 退去時のリスク | 中〜高(施工痕が残り、剥がし費用などを請求される可能性) | 低〜中(美観は向上するが、施工自体が請求対象になるケースあり) | 低(経年劣化は借主負担にならないが、汚れが酷いと清掃費用が嵩む可能性) |
| 主なメリット | とにかく安い。手軽に試せる。 | 仕上がりが美しく、耐久性が高い。掃除が楽になる。 | コストゼロ。トラブル回避の可能性が高い。 |
| 主なデメリット | 効果が短命。下手をすると見た目が悪化する。 | 費用が高い。退去時にトラブルになるリスクがゼロではない。 | 掃除の負担は変わらない。美観は向上しない。 |
※上記の数値は複数の公開情報や製品販売ページ(2024年12月発売のカインズ×KeePer技研「汚れがつきにくい長持ち浴槽コーティング」製品情報など)をもとにした目安です。
この表を見てわかるのは、「安さ」を取るか「確実さ」を取るかというトレードオフの関係です。DIYは初期費用が圧倒的に安いですが、その分手間とリスクが大きい。プロ施工は確実な仕上がりですが、費用対効果を考えると、長く住む予定がある人向けの選択肢と言えるでしょう。
プロの施工でもリスクはゼロじゃない。大家さんの本音とは?
「じゃあ、お金をかけてプロに頼めば安心なの?」
実はそれも違います。プロの施工でも、退去時のトラブルが完全になくなるわけではありません。
プロのコーティング業者の見解(2026年1月、ハウスコーティング専門店Glation)によると、賃貸浴槽が「掃除しても古く見える」原因は、コーティングの剥がれや細かいキズに汚れが入り込むからだといいます。そして、ゴシゴシ掃除がかえって傷を拡大させているケースもあるとのこと。プロの施工はこうした問題を根本から解決する有効な手段ではあります。
しかし、大家さんの立場からすると話は別です。DIY大家の実体験として投稿された意見(2025年3月、Yahoo!知恵袋)では、浴槽の色あせや劣化について大家は「使えればそれでいい」と考えており、美観だけで交換に応じると後々のトラブルになるため、借主からの交換要望には基本的に応じないという本音が明かされています。
つまり、プロ施工で浴槽が美しくなったとしても、大家さんにとっては「別に頼んでないし、元に戻してほしい」となる可能性があるのです。特に、コーティングによって浴槽表面に何らかの変化(剥がれや変色など)が生じた場合には、原状回復費用の請求対象になりえます。
それでも施工するなら。後悔しないための3つのポイント
ここまでリスクを中心に書いてきましたが、それでも「やっぱり浴槽をキレイにしたい!」という人のために、リスクを最小化するポイントをまとめます。
① 管理会社・大家さんに事前に確認する
これが最も確実な方法です。「コーティング剤の使用を検討しているが、問題ないか」と確認するだけでも、後のトラブルを大幅に減らせます。口頭ではなく、メールなど文書で残すとなお安心です。
② 短期間で住む予定ならDIYは避ける
引っ越しが近いのにDIY施工すると、退去時に「施工跡」として請求されるリスクが高まります。あと1〜2年で引っ越す予定なら、コーティングには手を出さず、通常の掃除を丁寧にするほうが無難です。
③ どうしてもDIYするなら、剥がせるタイプを選ぶ
一部の製品には、施工後にはがせるタイプのコーティング剤もあります。退去時に自分で剥がせば原状回復の問題を回避できる可能性があります。ただし、製品によっては完全に剥がれない場合もあるので、購入前にしっかり確認しましょう。
まとめ:賃貸の浴槽コーティングは「メリット」より「リスク」を知ることが大切
賃貸の浴槽にコーティング剤を使うかどうか。この問いに対する答えは、「あなたがどれだけリスクを取れるか」にかかっています。
コーティング剤には、浴槽を美しくし、掃除を楽にするという確かなメリットがあります。しかし、その一方で、DIYの難しさや効果の持続性の低さ、そして何より退去時の原状回復トラブルという、賃貸ならではのリスクが常につきまといます。
市販のコーティング剤で有名な「笑激SHOCK 浴槽コーティング剤(レック)」のような製品は手軽に試せる価格帯ですが、その分だけ施工技術や使用環境によって結果が大きく変わります。また、2024年末にカインズとKeePer技研が共同開発した「汚れがつきにくい長持ち浴槽コーティング(効果約180日・3,980円)」のような新製品も登場しており、選択肢は広がっていますが、やはり賃貸特有のリスクは製品が変わっても消えません。
最終的には、あなたがその物件にどれくらい長く住むか、予算はどのくらいか、そして「掃除の手間を減らすこと」と「退去時のトラブルリスク」のどちらを優先するか。そのバランスで決めるのがいいでしょう。
もし少しでも不安があるなら、施工せずにこまめな掃除を続けるのが、結局は一番安心で確実な選択肢かもしれません。それでも施工するなら、この記事で紹介したリスクをすべて理解したうえで、自分で納得して決めてくださいね。

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